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「公共工事の入札で有利になる技術を探しているが、NETISの使い方がよくわからない…」
「膨大な数の登録技術の中から、自社の工事に本当に役立つものを効率的に見つけたい」
公共工事に携わる中で、このような課題を感じている方も多いのではないでしょうか。
NETIS(新技術情報提供システム)は、うまく活用すれば工事成績の向上やコスト削減に直結する、非常に強力なツールです。
しかし、そのデータベースは膨大で、どこから手をつければよいか戸惑ってしまうのも無理はありません。
この記事では、NETISの基本的な仕組みから、初心者でもすぐに実践できる具体的な検索テクニック、さらには入札での加点に繋がりやすい優良技術の見分け方まで、段階を追って徹底的に解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたもNETISを自在に使いこなし、競争の激しい公共工事市場で一歩先んじるための知見を得ているはずです。
NETIS(ネティス)とは、国土交通省が運用する「新技術情報提供システム(New Technology Information System)」の略称です。
これは、民間企業などによって開発された新技術の情報を集約し、広く共有・提供することで、その活用を促進するためのデータベースシステムを指します。
このシステムの主な目的は、公共工事における品質の確保、コストの縮減、生産性の向上、さらには安全性の確保や環境負荷の低減にあります。
信頼性の高い新技術を誰もが利用しやすくすることで、建設業界全体の技術力向上を目指しているのです。
国がNETISの運用に力を入れる背景には、現在の建設業界が直面している深刻な課題があります。
具体的には、就業者の高齢化や若手人材の不足といった、構造的な人手不足の問題です。
この状況を打開するため、国はICT(情報通信技術)などを全面的に活用して建設現場の生産性を向上させる「i-Construction」という取り組みを推進しています。
NETISは、このi-Constructionを支える革新的な技術を、全国の建設現場へスムーズに届けるための重要なプラットフォームとして機能しています。
つまり、優れた新技術の情報を広く公開し、その活用を促すことで、業界全体の課題解決を後押ししているのです。
| 建設業界の課題 | NETISが果たす役割 |
| 生産性の向上 | 施工を効率化する新工法や新材料の情報を提供し、工期短縮やコスト削減を支援する。 |
| 人手不足・高齢化 | 省人化・省力化に繋がる技術(例:遠隔操作、自動化システム)の活用を促進する。 |
| 品質の確保・向上 | 従来技術よりも高い品質を実現する検査技術や材料の情報を提供し、構造物の長寿命化に貢献する。 |
| 安全性の向上 | 現場の危険作業を減らす安全対策技術や仮設機材の情報を提供し、労働災害のリスクを低減する。 |
| 環境負荷の低減 | 廃棄物の削減やリサイクルに繋がる工法、環境に配慮した材料などの活用を促す。 |
NETISの活用は、施工業者だけでなく、発注者や技術を開発した企業にとっても、それぞれ大きなメリットをもたらします。
特に公共工事の受注を目指す施工業者にとっては、入札や工事成績において直接的なインセンティブとなるため、その重要性は非常に高いと言えるでしょう。
ここでは、それぞれの立場から見た具体的なメリットをまとめました。
| 立場 | 主なメリット |
|
施工業者 (受注者) |
– 総合評価落札方式での加点: 技術提案でNETIS登録技術を活用すると、評価点が加算され、受注に有利になります。 などで優位に立てます。 |
|
発注者 (官公庁など) |
– 技術選定の効率化: データベース化された情報から、工事に最適な新技術を効率的に探せます。 |
|
技術開発者 |
– 技術の信頼性向上と普及促進: 国のシステムに登録されることで、技術の信頼性が公的に証明され、 全国的な普及に繋がります。 さらなる技術改良に繋げられます。 |
ここからは、NETISの情報を実際に探すための具体的な検索方法を解説します。
基本となるのは、国土交通省が運営するNETISの公式サイトです。
目的や状況に応じていくつかの検索方法がありますので、一つずつ見ていきましょう。
最も手軽で一般的なのが、キーワードによる検索です。
公式サイトのトップページにある検索窓に、探したい技術に関連する単語(例:「コンクリート」「法面保護」「ひび割れ補修」など)を入力して検索します。
ただ、より効率的に目的の技術を見つけるためには、いくつかのコツがあります。
| 検索のコツ | 具体的な方法と例 |
| AND検索(絞り込み) | キーワード検索条件を追加し and でつないで入力 します。 例:「トンネル and 防水シート」と入力すると、両方の単語を含む技術に絞り込めます。 |
| OR検索(候補を広げる) | 複数のキーワードを「OR」でつないで入力します。 例:「法面 OR のり面」と入力すると、どちらかの単語を含む技術がすべて表示されます。 |
| 同義語・関連語を試す | 目的の技術が見つからない場合、別の表現を試します。 例:「舗装」で少なければ「アスファルト」、「道路」なども試してみます。 |
担当する工事の種類が明確な場合は、「工種分類検索」が非常に便利です。
これにより、特定の工事分野に関連する技術だけを一覧で確認できます。
カタログや他社の資料などで、特定のNETIS登録番号(例:「KK-250028-A」)が判明している場合もあるでしょう。
その際は、キーワード検索用の検索窓に登録番号を直接入力するのが最も早く確実な方法です。
入力して検索すれば、その技術の詳細情報ページに直接アクセスできます。
NETISの公式サイトは情報が正確である一方、「少し使いにくい」「目的の情報にたどり着きにくい」と感じる方もいるかもしれません。
そのような場合には、民間企業が運営する外部のNETIS検索サイトを活用するのも一つの手です。
これらのサイトは、独自のインターフェースや検索機能を提供しており、より直感的な操作が可能な場合があります。
| 比較項目 | NETIS公式サイト | 外部検索サイト(例:NETIS Search) |
| 情報の信頼性 | ◎(公式情報そのもの) | ○(公式情報を基にしているが更新タイミングに注意) |
| 使いやすさ | △(専門的でやや複雑) | ◎(ユーザーフレンドリーな設計が多い) |
| 検索機能 | ○(基本的な機能は網羅) | ◎(より詳細な絞り込みや独自の検索軸がある場合も) |
| 料金 | 無料 | 無料または一部有料 |
| メリット | ・常に最新かつ正確な情報 ・すべての公式情報にアクセス可能 |
・直感的な操作性 ・独自の比較・分析機能 ・情報収集の効率化 |
| デメリット | ・インターフェースが古く、操作が複雑な部分がある | ・情報の更新が公式サイトより遅れる可能性 ・一部機能が有料の場合がある |
どちらが良いというわけではなく、基本は公式サイトを使いつつ、情報収集の効率を上げたい場合に外部サイトを補助的に利用するなど、目的に応じて使い分けるのが賢い方法です。
NETISデータベースから技術情報を見つけ出すことは、あくまでスタートラインです。
重要なのは、その情報をいかにして「総合評価の加点」や「コスト削減」といった具体的な成果に結びつけるか、という点にあります。
ここでは、より実践的な活用のための視点を紹介します。
公共工事の入札で有利になる、あるいは工事成績で高い評価を得るためには、単に新技術を使うだけでなく、「評価の高い」新技術を選ぶことが重要です。
そのための判断基準となるポイントをいくつか紹介します。
| 加点に繋がりやすい技術のチェックポイント | 解説 |
| 評価区分が「VE」であること | 登録番号末尾が「VE」(活用効果評価済み技術)のものは、第三者機関によって
その効果が客観的に証明されているため、最も加点に繋がりやすい技術です。 |
| 「活用効果評価書」の内容 | 技術詳細ページからダウンロードできる「活用効果評価書」を確認します。
ここに、従来技術と比較した際の定量的・定性的な優位性が具体的に記載されています。 |
| 豊富な活用実績 | 活用実績が多い技術は、それだけ多くの現場で効果が認められている証拠です。
技術詳細ページの「活用実績」の件数を確認しましょう。 |
| 発注者の指定・推奨 | 発注仕様書などで特定のNETIS技術が指定・推奨されている場合は、
評価に直結する可能性が非常に高いです。 |
コストや工期に関する課題を解決できる技術を探すには、技術概要の読み込み方が鍵となります。
特に注目すべきは「従来技術との比較」や「期待される効果」といった項目です。
上記のような、省人化や工程削減に直接繋がる具体的な記述を探し出しましょう。
また、技術詳細ページから閲覧できる「活用効果調査票」には、実際にその技術を使った現場からのリアルな声が記載されています。
「工期が3日短縮された」「材料費が〇〇円削減できた」といった生の情報は、技術選定における非常に有力な判断材料となります。
ここでは、実際にNETIS登録技術を導入し、大きな成果を上げた具体的な事例をご紹介します。
理論だけでなく、実際の成功例を知ることで、自社のプロジェクトにおける活用のイメージがより明確になるはずです。
ある自治体で行われた橋梁の補修工事では、従来、伸縮装置の設置と橋面防水を別々の工程で行っていました。
この工事において、伸縮材と橋面防水材の機能を一体化させたNETIS登録技術を採用しました。
その結果、材料費と施工手間が大幅に削減され、プロジェクト全体のコストを15%削減することに成功しました。
さらに、工程が一つ省略されたことで、工期も10日間短縮できたという目覚ましい成果が報告されています。
私たちKATECSでも、現場の具体的な課題解決に貢献するNETIS登録技術を数多く提供しています。
ここでは代表的な2つの事例をご紹介します。
これらの事例のように、現場が抱える具体的な課題とNETIS技術の特性を結びつけることが、導入成功の鍵となります。
最後に、NETISに関してよく寄せられる細かい質問や、意外と知られていないポイントをQ&A形式でまとめました。
これらの知識は、あなたのNETIS活用レベルをさらに一段階引き上げてくれるはずです。
| 評価区分 | 名称 | 概要 | 加点の可能性 |
| -VE | 活用効果評価済み技術 | 第三者機関により、従来技術に比べて優れていると効果が評価・確定された技術。 | 非常に高い |
| -VR | 活用効果評価等未実施技術 | 申請されたばかりで、まだ活用実績がなく事後評価が行われていない技術。 | △(活用の提案自体が評価される場合も) |
| -A | 事後評価未実施技術 | 活用実績はあるが、まだ事後評価が完了していない技術。 | ○(活用実績により評価) |
| (旧)-V | 事後評価済み技術 | 活用実績に基づき事後評価が行われた技術。現在は「-A」または「-VE」に移行。 | ○(評価内容による) |
結論として、最も信頼性が高く、加点に結びつきやすいのは「-VE」評価の技術であると覚えておきましょう。
注意点として、この掲載期間が終了した技術は、原則として公共工事の加点対象からは外れます。
長期的なプロジェクトで技術活用を検討する際は、その技術の掲載終了時期も併せて確認しておくことが重要です。
| 項目 | NETIS登録 | 特許 |
| 目的 | 新技術の活用促進と公共工事への普及 | 発明の権利保護と独占的な実施権の確保 |
| 所管 | 国土交通省 | 特許庁 |
| 効力 | 公共工事の入札・評価における優遇措置 | 第三者による無断での発明の実施を排除する効力(独占排他権) |
| 期間 | 原則5年(最長10年) | 原則として出願日から20年 |
簡単に言えば、NETISは「この技術は公共工事で使うと良いですよ」という国からのお墨付きであり、特許は「この技術を独占的に使えるのは私だけです」という法的な権利です。
今回は、NETIS(新技術情報提供システム)の基本的な仕組みから、具体的な検索方法、そして公共工事で成果を出すための実践的な活用術までを解説しました。
最後に、本記事の重要なポイントを振り返ります。
NETISを戦略的に活用するスキルは、もはや公共工事に携わる技術者にとって不可欠なものとなっています。
この強力なツールを使いこなせるかどうかで、プロジェクトの成否や企業の競争力が大きく変わってくると言っても過言ではありません。
まずは今日学んだ検索方法を一つでも試して、あなたの担当する工事に役立つ技術を探す、その第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。